「うまい。……私が必ず彩葉さんをお守りします」
「お願いしましたよ」


なんと寛容な人なのか。

俺が人ならざるものだと気づいているのに、大切な孫娘を託してくれる。
それならば、期待に応えるまで。



その晩も、彩葉の眠る部屋へと向かった。

いつもはうなされながら寝ているのに、彼女の目はパチッと開いていて、一目散に飛んできて俺の尻尾に飛びついた。

あぁ、彩葉。
心の準備をさせてくれ。

いきなり来られては力が抜けるのをこらえきれず、ガクッと膝から落ちてしまう。


「尻尾!」


腕の中ではなく尻尾に飛びこまれることに苦笑はするが、彼女に安心を与えられるならそれでもいいか。


「眠っていなかったのか?」
「待ってたの」
「待ってた? どうして?」


フニフニと感触を確かめるように尻尾を撫でられて、くすぐったいようなムズムズ感でいっぱいになりながら尋ねると、彩葉は俺を見てニッと笑った。

あの事故以来笑顔を見たのは初めてだった。