そして、彼女との間に交換される〝気〟のようなものは、成長するにしたがって強くなり、間違いなく彩葉が帰ってきたのだとわかった。
俺は喜び勇んだが、彩葉はそれから両親を一度に亡くすという壮絶な経験をした。
前世でむごい死に方をさせてしまったのに、まだ苦しまなければならない彼女の運命を呪いたくなる気分だった。
幽世で彩葉を失ったとき、俺も気が狂いそうになるほど苦しんだというのに、それと同じような経験をこんなに小さな体で受け止められるはずもない。
今度こそ必ず守ると決めていたのに、黒爛が虎視眈々と月の世の勢力を増大させようとしている幽世から常に離れていることもできず、このありさまだ。
もちろん、鬼童丸に手配させて臣下のあやかしに交代で彼女を監視させてはいたが、足りなかった。
もっと厳重に守るべきだったのに、甘かったのだ。
尻尾に包まれて疲れきった彼女が眠っているのを見ると、胸を引き裂かれそうにつらい。
そっと頭を撫でた瞬間、「ママ」と小さな声でつぶやかれていたたまれなくなった。