明日は終了式。
いよいよ春休みだ。
高校二年生も終わりを迎え、受験に本腰を入れなければならない時期だけれど、私は進学する予定はない。
もともと卒業したら桜庵を本格的に手伝うつもりだった。
祖母は『大学に行きたければそうしなさい』と盛んに勧めてくれたが、繁盛はしていたものの、〝誰でもおいしいものを食べられるように〟という祖母の信念でギリギリの価格に抑えていた小料理店の売り上げがたいしてあるわけではないことを知っていたからだ。
しかも料理を作るのは楽しくて、祖母と同様桜庵に愛着があり、私はここが大好きだった。
弁当を持ち登校したものの、学校に近づくにつれ足が重くなってきた。
祖母を亡くして苦しい時期に、作り笑いをしているのがつらくなってきたのだ。
私に両親がいないことは周知の事実で、〝かわいそうに〟という空気は常に漂っている。
そうした気遣いはありがたいといえばありがたいが、祖母に大切に育てられた自分のことをかわいそうだと思うのは違う気がしていたし、できれば皆と対等な立場でいたかった。
いよいよ春休みだ。
高校二年生も終わりを迎え、受験に本腰を入れなければならない時期だけれど、私は進学する予定はない。
もともと卒業したら桜庵を本格的に手伝うつもりだった。
祖母は『大学に行きたければそうしなさい』と盛んに勧めてくれたが、繁盛はしていたものの、〝誰でもおいしいものを食べられるように〟という祖母の信念でギリギリの価格に抑えていた小料理店の売り上げがたいしてあるわけではないことを知っていたからだ。
しかも料理を作るのは楽しくて、祖母と同様桜庵に愛着があり、私はここが大好きだった。
弁当を持ち登校したものの、学校に近づくにつれ足が重くなってきた。
祖母を亡くして苦しい時期に、作り笑いをしているのがつらくなってきたのだ。
私に両親がいないことは周知の事実で、〝かわいそうに〟という空気は常に漂っている。
そうした気遣いはありがたいといえばありがたいが、祖母に大切に育てられた自分のことをかわいそうだと思うのは違う気がしていたし、できれば皆と対等な立場でいたかった。