その次の日も、また次の日も、彩葉の泣き声は収まらず、客も徐々に減っていく。
彼女をあやしながら店を切り盛りしなければならないばあさんは疲れ切っていた。
しかし、意外にも口にするのは愚痴ではなく彩葉の心配ばかり。
「あの子、夜もあんな調子で。寝付いてはすぐに泣いて目を覚ますんです。食欲も旺盛だったのに、今は口に入れてもべえっと吐き出すようになって、みるみるうちに痩せてしまって……」
常連になったことで少しずつ気を許してくれるようになったばあさんが、俺に漏らした。
「それは心配ですね。ほかの客もいませんし、ここに連れてこられては?」
俺は彩葉の顔色も見たくてそう提案した。
ばあさんが泣き疲れてぐったりしている彩葉を抱いて現れると、俺は血の気が引いた。
あのとき助けた彼女の面影がどこにもなかったからだ。
子供らしい丸みを帯びた体はギスギスにやせ細り、赤みをさしていた頬はこけている。