そんなに大切な決断を一度にいくつもできそうにない。

白蓮さんの私を想う気持ちは胸にズドンと突き刺さっているし、優しさは身に染みている。

けれど、結婚――しかもあかしとの――なんて考えたこともなかったし、彼の気持ちが真剣だからこそ慎重に自分の気持ちを見極めたい。


「なんだ。なかなか頑固なところも前世と同じなんだな。そういうところは変わっていてもよかったのに」


彼は、ふぅ、と大げさにため息をついているが、目は笑っていた。


「あっ、鬼童丸さんがいつでも現世に行けると言っていましたから、やっぱり幽世やーめたというのもアリですから」
「まったく。幽世で俺を脅せるのはお前くらいだ。そうならないように今後も善処する」


白い歯を見せる彼とともに微笑み合うこの時間は、私を幸せな気持ちにした。