ここに残っているのは、志麻さんの行く末を見守りたいという気持ちもあったけれど、彼女がいなくなったあともここにいるつもり?
改めて自問自答してみると、すでに答えが出ている気がしてハッとする。
私はここが心地いいんだ。
作り笑いを浮かべ空元気を出して通っていた高校よりもずっと楽しくて、なにより私が作った料理で笑顔になるあやかしたちがいる。
必要とされているという空気が気持ちよくてたまらない。
私は答えを辛抱強く待ってくれているだろう白蓮さんのもとに向かった。
「白蓮さん、彩葉です」
いつものように廊下から声をかける。
すると、すーっと障子が開いた。
「来ると思っていたよ」
「どうしてわかったんですか?」
「さあな」
彼は頬を緩めて「入れ」と促したあと障子をぴしゃりと閉めた。
窓際に座った彼は、窓から空を眺めている。
私は近くまで行って正座した。