もしかして、あの幽世につながっていた神社にお弁当を奉納していたのは、私を守ってくれるあやかしたちへの感謝もこもっていたとか?


「最近になって黒爛が躍起になりだしたのは、おばあさまがお亡くなりになったからでしょうね。白蓮さまは、彩葉さまが現世で穏やかに暮らされているのなら、自分はそれを見守るだけで幸せだと、こちらに連れてこられるつもりはなかったですから」
「そうなんですか?」


いきなり『嫁になれ』と私に告げた彼だけれど、祖母が亡くなり私がひとりになってしまったからそう言っただけなのかもしれない。

しかも、墓前で口説こうとするなんて軽い男だと軽蔑したが、あれは祖母に私を守ると宣言したかったのかも。


ナンパ師だと思ってごめんなさい……。

私が考えていたよりずっと白蓮さんは思慮深く、そして温かいあやかしだった。