和花さんと勘介くんと一緒に後片付けを済ませたあとは、白蓮さんの部屋に向かった。


「彩葉です」
「入ってこい」


障子を開けると、彼は片肘をついて横になっていた。
しかし私が入っていくと体を起こしてあぐらをかく。


「現世では食いたてに寝転がるとよくないと言うんだったな」


座りながらそんなことを口にしている。


「食べてすぐに寝ると牛になるんですよ。狐から牛ってちょっと面白いかも」
「牛にはならん!」


こんなことでムキになる彼がおかしい。


「やっぱり狐がいいですか?」
「彩葉が好きなあやかしならなんでもいいぞ」


あぁ、また愚問をしてしまったようだ。

どれだけ私のことを好きなの?と突っ込みたくなるような場面だが、それこそ藪蛇になりそうなので黙っておいた。


「眠い、ですよね。いつも尻尾をありがとうございます」


尻尾をありがとうだなんておかしなお礼だと思いながらも、頭を下げる。


「いや、大丈夫だ」
「でも、白蓮さんが倒れてしまわれては困るので、もう……」