――「わー、温かい!」


ふわふわの毛皮のようなそれは、小さな――おそらく四、五歳の私が飛びつくと体にまとわりついてきて包み込んでくれる。


「彩葉」


誰かが私の名前を呼んでいるけれど姿は見えない。


「だあれ?」


質問したのに返事はない。
けれども、その毛皮はいつまでも私を守るように離れなかった――。