「あれ、おいしい」
「でしょ？」


どうやら食べず嫌いだったようだ。

和花さんが自慢げな顔をしているのがうれしい。
最近は彼女もうんと腕を上げてきて、調味料の分量の指示はしたものの、オクラは彼女がこしらえた。


「でも！　豆腐も食べます！」


勘介くんはその隙に揚げ出し豆腐をパクパク口に運んでいる白蓮さんに気づいて、身を乗り出している。

この光景、家族団らんみたいでとても楽しい。


大はしゃぎの食事が済んだあとは、いつものように宿の器を下げに行く。
私は真っ先に志麻さんのところに向かった。

最初は食べるのも遅かった彼女だが、残さず食べてくれるようになったうれしい限りだ。

器を持つときに音を立ててしまったからか、彼女は顔を出した。