豆吉くんが運んでくる豆腐は、しっかり大豆の甘みが残っていて濃厚だ。
現世のスーパーでいつも買っていたものよりずっとおいしい。
冷ややっこでこのままが一番だと思ったものの、白蓮さんの好きな揚げ出し豆腐が頭に浮かび、今日の晩御飯はそれに決まり。
前も一度作ったが、白蓮さんは本当においしそうに食べてくれた。
「和花さん、ねぎを切っておいてくれる?」
「わかりました」
豆吉くん自慢の豆腐を水切りして、薄力粉と片栗粉を一対一の割合で混ぜた粉にまぶして揚げる。
この配合にすると、外がカリカリに仕上がる。
それでいて中はフワフワなので、食感の違いも楽しめるのだ。
作り置きしておいただし醤油に片栗粉でほんのりとろみをつけ、あんにする。
上には大根おろしとねぎを散らして完成。
「うわー、早く食べたい」
どうやら和花さんは揚げ物を作るのは得意ではないらしく、私がここに来るまでずっと食卓には並ばなかったのだとか。
しかし彼女もこれが大好きだ。