「彩葉さまはもうお眠りに?」
「寝ているんじゃないか? でもまだうなされるのだ。彩葉には怖い思いばかりさせてしまったからな」
「はい」
「そろそろ隣に行って様子を見てくるよ。尻尾を欲しがるだろうから」


それきりふたりの話し声はやみ、部屋の障子が開いたので私はあわてて寝たふりをした。


入ってきた白蓮さんは枕もとに座り、小声で話し始める。


「お前は昔からまるで変わらないな。もう一度惚れ直すじゃないか」


ちょっとこれ、とんでもなく照れくさい。
私は寝たふりをしたことを後悔した。


「彩葉は周りの者を守るのに忙しいからな。お前のことは俺が守る。安心して眠れ」


優しい声で囁かれて、今度は目頭が熱くなった。