その晩、うとうとしていると隣の部屋から白蓮さんと鬼童丸さんの話し声が聞こえてきたので起きてしまった。
「白蓮さまは甘いですね。豆吉に罰を与えるべきだったのでは?」
「俺が甘いのは豆吉にではなく、彩葉にだ。あれほど切ない目で見つめられたら、温情もかけたくなる」
なに言ってるの?
「あぁ、そうでしたね。前世から彩葉さまには敵わなかったですからね。幽世で最強なのは、もしかしたら彩葉さまでは?」
「そうかもしれんな」
ふたりで勝手なことを……。
聞いているほうが恥ずかしい。
「それで豆吉は?」
「勘介の部屋で大はしゃぎしておりました。友ができてうれしかったようです。ですが、和花にうるさいと一喝されていました。女は強いらしい」
「だな」
白蓮さんの笑い声が聞こえてくる。