「事情はわかった。同情もするが、かといって盗みを働いてもいいという理由にはならん」
「はい」
「もう二度と間違いはするな。それと、彩葉にきちんとお礼を言っておきなさい。そうしたことを怠らずにしていれば、きっと仲間は増える」
「わかりました」


豆吉くんはすっかり素直になって返事をしている。おそらくこれが本当の彼の姿なのだろう。

白蓮さんは立ち上がり部屋を出ていこうとしたが、障子を開けたところで立ち止まって口を開いた。


「俺は揚げ出し豆腐が好きだ。それに合う豆腐を今度届けなさい」
「はい! 一番いいのをお届けします!」


豆吉くんを助ける代償を要求しているのだ。
それが陽の世のシステムだから。

でも、すごくかわいらしい要求でほっこりした。