「はぁ……せっかく昼寝でもしようと思ったのに」


鬼童丸さんが眉をハの字にして落胆している。
それを見て白蓮さんはニヤリと笑った。


「あぁ、雪那と一緒にか? それは悪かったな。街には俺が行く」
「一緒なわけがないでしょう? わかりましたよ、行ってきます」


白蓮さんの勝ち。
鬼童丸さんは重い腰を上げる。


「それと、今晩は豆吉をここに泊めるから両親に連絡も」
「泊めるのですか?」
「勘介と仲がよさそうだったな。今日は勘介の部屋に泊める」


友達がいないと言ったからだ、きっと。

白蓮さんの配慮に感謝した。

それから鬼童丸さんはすぐに部屋を出ていき、豆吉くんは唖然としている。
私はその横で白蓮さんに頭を下げた。


「ありがとうございます」
「彩葉に感謝されてもな。豆吉」


凛とした声で豆吉くんの名を呼ぶ白蓮さんは、一瞬視線をとがらせる。