私も深く付き合っている友達はいなかったので、妙に共感してしまう。
白蓮さんは腕を組んだまましばらくなにも言わない。
私が街に下りてその子たちの親に事情を話して回るとか?
子供相手では聞いてもらえなくても、少しは耳を傾けてもらえるかも。
「彩葉。その考えは却下」
「まだなにも言ってませんよ?」
唐突に白蓮さんにダメ出しをされて驚く。
「どうせ自分が行って事情を説明しようとかなんとか考えてるんだろう?」
うわ、図星だ。
「なんでわかったんですか?」
「単純だからな」
それ、好きな人に言う言葉?
あっさり読まれているのだから、単純なのだろうけど。
「お前はここから出るな」
私にくぎを刺した白蓮さんは、隣の鬼童丸さんに視線を送る。
「はっ、また余計な仕事を押しつけようとしてますね?」
「彩葉に行かせるわけにはいかないだろ? 豆吉では説明できないだろうから、街に下りて盗みにあった家に事情を話してこい」