「豆腐小僧はそもそもおとなしいあやかしですからね。ただそれがあだとなって使いっ走りにされることが多いとか」


鬼童丸さんが口を挟む。


「それで、どうして盗みを?」


白蓮さんがもう一度問うと、今度は彼を見て口を開いた。


「盗んだものは、そいつらの家の物だ。僕がお使いをすると、そいつらは自分でやったように見せかけて家の人に褒められて、褒美までもらって……」


豆吉くんの目が潤んできたので、励まそうと背中に手を置く。


「でも僕は豆腐の配達が遅れて叱られてばかり。腹が立って困らせてやりたかったんだ!」


だから盗んだ物に一貫性がなかったのか。


「そうだったのか。しかし、本人たちに言うべきで、家の物を盗んでも解決はしないぞ」
「言ったよ。でも、聞いてくれない」


悔しそうに唇を噛みしめる豆吉くんが不憫になった。
どこの世界でもこういう悩みはあるのね。


「助けてくれそうな友はいないのか?」
「そんなものいない」