「これは祖母がよく昼食に作ってくれたんですよ。だし醤油がおいしいでしょ?」
白蓮さんに答えると、彼だけでなく鬼童丸さんもうなずいている。
彼の横では雪那さんが、大皿から取り分けるなど甲斐甲斐しく世話を焼いていた。
鬼童丸さんがひたすら苦笑しているのは見なかったことにしよう。
皆もりもり食べてくれるから、とても気持ちがいい。
すっかり味覚を取り戻した私も、祖母の味を堪能した。
「和花さん、後片付けお願いしてもいい?」
「わかりました」
食事が終わると、豆吉くんと一緒に立ち上がった。
「白蓮さん」
「わかっている。ついてこい」
白蓮さんに先導された私たちは、長い廊下を歩き、初めて入る部屋に通された。
うしろから鬼童丸さんも入ってきて、部屋の中心辺りに座った白蓮さんの隣にやってくる。
さすがに雪那さんは振り切ってきたようだ。
私はうつむく豆吉くんを彼らの前に正座させたあと、彼の横に腰を下ろした。