「い、彩葉さま？」


背後から焦る鬼童丸さんの声。


許して！
心の中で謝罪しながら、豆吉くんを雪那さんから引き離した。


「まあ、なんですの？」


別の顔を付け替えたようにコロッと態度が豹変した雪那さんは、豆吉くんには目もくれず鬼童丸さんに駆け寄っていった。


「いや、その……」
「仲がいいな、鬼童丸」
「白蓮さま！」


白蓮さんまで茶々を入れるので、鬼童丸さんは目を白黒させている。

私はその隙に怖がる豆吉くんを背中に隠す。
すると、白蓮さんが歩み寄ってきた。


「彩葉。話は終わったのか？」
「まだこれからですが、とりあえず一緒にお昼を食べてもいいですか？」
「は？」


白蓮さんは鼻から抜けるような声を出し、一瞬眉をひそめる。