廊下で鬼童丸さんに出くわすと彼はやれやれと言いたげな表情をしているが、特になにも言わない。

白蓮さんが私に任せると制したからだろう。


鬼童丸さんのうしろから白蓮さんが近づいてくるのが見えたからか、豆吉くんは私の手を振り切って逃げようとした。

しかしうしろからちょうどやってきた雪那さんにぶつかってあえなく御用。

ボールでも持つように頭を片手でガッチリとつかまれ、身動きが取れなくなっている。
バカ力だ。


「おいお前。鬼童丸さまを困らせるとは、ずいぶんいい度胸してるんだねぇ」


雪那さん、あなたが一番怖いから!
彼女は鬼童丸さんのことになると、手が付けられなくなる。


「あっ、鬼童丸さんが雪那さんを探していたんですよ」


私はどうしようか焦り、とっさに嘘をついた。