和花さんは不思議そうな声を出しながらも、作業に移った。


「豆吉くん、お昼ご飯はまだでしょ?」
「うん」
「それじゃあ一緒に食べよう」


私が彼を誘うと、和花さんが「それはちょっと……」とためらいをみせる。


「大丈夫。白蓮さんには私がお話しするから。お腹がすいているとイライラするものなの。おいしいものを食べて、まずは気持ちを落ち着けなくちゃ。豆吉くん、お腹がいっぱいになったら白蓮さんとお話するのよ。私も一緒にいてあげるから」


私の腰ほどの背丈の彼に視線を合わせて話しかけたが、険しい顔をしている。


「組紐が欲しかったわけじゃないよね?」
「……うん」
「なにかわけがあるんでしょ? 白蓮さんはちゃんと聞いてくれると思うなぁ」