雪那さんもまったく動じない。
勘介くんって、よく叩かれてるよね……。
でも、全然めげている様子もなく、再び食事を始めた彼を見てクスッと笑ってしまった。
数日後。
白蓮さんは臣下のあやかしを連れて街に向かったようだ。
鬼童丸さんの話では、盗みを働く子供が出没しているらしく苦情が殺到しているのだとか。
陽の世にはお金のようなものが存在しないとは聞いたが、自分のできることを誰かに提供して見返りをいただいているわけなので、一方的に持っていくのはルール違反になる。
勘介くんが腹時計がそろそろ昼だと言うので、私は再び台所に向かって昼食の準備を始めた。
今日はツナと大根おろしの和風パスタにしようと思っている。
というのも朝、ツナ缶まで常備されているのを見つけたからだ。
人間の食べ物はおいしくて、あやかしにも大人気なんだとか。
食材に関しては現世とまったく変わらない。
桜庵の厨房より豊富にそろっているくらいだ。