今日は煮干しと昆布でだしをとったが、特に煮干しがいい仕事をしている。
これなら祖母にも合格をもらえそうだ。


「あ……」


そう思ったところで声が漏れてしまい、食べ進んでいた皆の視線が集まった。


「彩葉、どうかしたのか?」


白蓮さんが首を傾げて尋ねてくる。


「いえ……。私、祖母が亡くなってから食べ物をおいしく感じなくなっていたんですけど、ここで食べる食事はおいしいなと思って」


祖母が亡くなってからなにを食べても味気がなかったのに、だしの味まで見分けられるほどまでに回復している。

あんかけおこげもおいしいと感じたが、味覚が完全に戻ったことを知った。


「これがおいしくなかったら、和花の料理は……痛っ」


勘介くんが口を開くと、途中で和花さんに頭をパーンと叩かれて顔をしかめる。

それにしても今の、クリーンヒットだったけど大丈夫かしら?

心配で目を丸くしていると、隣の白蓮さんが「いつものことだ」と平然としてなすを口に運んでいる。