そういえば、尻尾に触れさせてもらったお礼をしなければ。
私は少しウキウキした気分で大広間に向かった。
今朝は呼びに行かなくても白蓮さんはやってきた。
「いい匂いがすると思ったら味噌汁か」
「はい。大根のお味噌汁です。お好きですか?」
座卓の前に座った彼に尋ねると、チラリと和花さんを見て、すぐに視線を逸らす。
「和花の大根の味噌汁は硬くて食べられないもん」
「文句があるなら自分で作りなさいよね」
勘介くんと和花さんの小競り合いが始まった。
それで白蓮さんは和花さんを見たのか。
「勘介、おまえの分も食っちまうぞ」
いつまでも言い合いを続けているふたりに、鬼童丸さんがくぎを刺す。
「ダメ! 絶対にダメ! いただきます!」
彼は早速大根を口に入れている。
「今日もうまっ」
気に入ってもらえてよかった。
私は皆が笑顔で食べ進む様子を見てから自分も食べ始めた。