「そう、なのかな」
「一時期は毎日のようにいらっしゃらなくて、代わりに鬼童丸さまが陽の世を守られていましたよ」
「毎日……」


心当たりがなく首を傾げながら作業を続けた。



すべてできた頃に、また鬼童丸さんが手伝いにやってきた。


「朝から豪華だ」
「普通ですよ」


祖母は朝食こそ活動の源となると、決して抜くことはなかった。

店の残り物のことも多かったが、テーブルには何種類ものおかずが並ぶのが普通だった。


「宿から先に配ります」


洗濯が終わって顔を出した勘介くん、そして相変わらず鬼童丸さんにべったりな雪那さんにも手伝ってもらい、宿のあやかしたちにも配り始めた。


「鬼童丸さん、志麻さんのお部屋は私に行かせてください」


彼が彼女の部屋の前に立ったのでお願いした。


「そうですか。それでは私は別の部屋に」


彼が離れていくとすぐに「おはようございます」と声をかける。
すると、静かに扉が開いた。