たしかに夢で見たふわふわしたものとそっくりだと以前も感じた。

私は恐る恐る手を伸ばして先に少し触れた。


「はっ……」


なにも今の色っぽい声?

視線を動かして白蓮さんを見つめると、バツの悪い顔をしている。
しかも、心なしか頬が赤らんでいるような。


「見るな。尻尾に触れられるのは苦手なんだ」
「あっ、すみません」


触れていいのかと思ったが違ったらしい。


「いや、ソフトに触れるな。触れるならいっそこう、ガバッと」


なるほど。
たしかに触れるか触れないかのときのほうがくすぐったいこともある。


「そ、それでは失礼して」


私は思いきって、尻尾の中に飛び込んだ。


「あぁ……」


またドキッとするような艶のある声にたじろぎ離れようとしたが、「慣れるから」と彼は言う。

だから私は遠慮なく尻尾に体を預けていた。

やっぱりこれだ。
夢で見るのは白蓮さんの尻尾だったのだ。


「彩葉。眠れそうならそのまま目を閉じろ」
「でも……」