片膝をついた白蓮さんが申し訳なさそうに言うが、助けてくれたのは紛れもなく彼だ。


「幼い頃から、繰り返し見る夢がありました。白蓮さんの黄金色の尻尾のようなもふもふしたものに包まれている自分の夢を。それに包まれている間は幸せで、満たされていました。でも、こんなに怖い夢を見たのは初めてで」
「そうか……。尻尾か」


彼はどことなく寂しげな表情で微笑み、九本のふさふさの尻尾と耳を出してみせた。


「これに包まれていたんだな」
「はい。こんな感じです。そういえば、両親を亡くしてからうまく眠れなくなって。祖母にねだって狐のぬいぐるみを買ってもらったんです。どうして狐を選んだのか覚えていませんが、いつも抱いていたような。でもそれだけでは夜も眠れず、それからその夢を見るようになった気が……」


私が言うと、彼は尻尾を動かして私のほうに向ける。


「これで安心して眠れるなら、包んでやる」
「えっ……」