するとふたりは別れたところで、雪那さんがすかさず鬼童丸さんに駆け寄っていったのが見えた。
「待ち構えていたみたいね……」
「雪那さんですか? ずっと玄関に座ってましたよ?」
勘介くんの発言にびっくり。
もはや一途を通り越してちょっと怖い。
「土産だ」
「あぁん、素敵」
雪那さんは鬼童丸さんから淡い水色の飴が入った袋を手渡されて、満面の笑みを浮かべている。
あんなに不機嫌だったのに、やっぱりちょろいかも……。
「彩葉さま」
鬼童丸さんは次に私を見つけて近寄ってきた。
もちろん、ニコニコ顔の雪那さん付きで。
「志麻さんは?」
「久々の街で興奮気味でした。着飾った彼女を見つけて差し入れをしてくれるあやかしも多くて。私が一緒でなければ、ナンパされていたかもしれませんね」
彼はニヤリと笑って言う。
おそらく、私が白蓮さんをナンパ師と勘違いしたことを揶揄しているのだろう。
「あはは。ナンパ、ねぇ……」
「鬼童丸さま。今度は私と行きましょうよ」
「あいにく仕事が忙しくてな」