自分の微妙な心の変化に気づきつつも打ち消した。


「わ、私、お洗濯物を取り込んできます。あの調子じゃ無理そうだから」
「あはは。そうだな、頼んだ」


白蓮さんから離れて歩き出すと「彩葉」と呼ばれて振り向く。


「志麻のこと、ありがとう。お前がいてくれて助かった」
「どういしたまして」


私が笑顔で答えると、彼もうれしそうに微笑んだ。



志麻さんたちが街に下りている間、雪那さんには殺気が漂い、誰も近づけない始末。

けれど空気を読まない勘介くんだけは「掃除が終わってないですよ」と無邪気にまとわりつき「うるさい!」と一喝されていた。

かわいそうに……。


「彩葉さま。鬼童丸さんがお帰りになりました」


夕刻になり勘介くんが私の部屋に飛び込んできた。


「どんな様子だった?」
「様子? 普通の顔してましたけど?」


勘介くんに聞いたのが間違いだった。
雪那さんのことも気になるので、慌てて玄関へ走る。