「白蓮さまが行けばいいのに……」
「俺は彩葉としかデートはせん」
断言する白蓮さんがサッと私の腰を抱くので、今度は私が卒倒しそうだった。
「それなら鬼童丸さまだって――」
雪那さんの抗議は続いたが、白蓮さんは素知らぬ顔をして私を部屋の外へと促す。
「志麻、化けたな」
「でしょう? 食事を食べるようになって、肌にみずみずしさが戻ってきましたから、化粧のノリも最高でした」
なんて、本当はよく知らないけれど。きれいだったからいいや。
それにしても、雪那さんの手先の器用さには驚いた。
「彩葉も化粧をしてデートするか?」
「し、しませんよ」
「あぁ、お前は化粧なんていらないか。このままで十分だ。でもあまりお披露目もしたくないな。俺の彩葉をじろじろ見るヤツがいたら腹が立つ」
〝しません〟は化粧ではなくデートにかかっているんですけど?
しかもしれっと『俺の彩葉』宣言されても、恥ずかしいだけでうれしくは……ない?のかな私。
いや、恥ずかしいだけよ。