「街に行ってくる」
「それなら私も!」
「雪那は洗濯物の取り込みが終わってないぞ」
すかさず鬼童丸さんの腕をとった雪那さんにくぎを刺したのは、タイミングよく現れた白蓮さんだ。
「それはあとでいたします。あぁ、彩葉さまがやってくださると」
そんなこと言ってないでしょ?
「今日はデートなのだから雪那は邪魔だ。志麻、楽しんでこい」
「デートって!!」
眼球が転げ落ちそうなほど目を見開いた雪那さんが、雷に打たれたような衝撃を受けている様子をチラリと視界に入れた鬼童丸さんだったが、「それでは」と出ていった。
「き、鬼童丸さま!」
あとを追おうとした雪那さんを白蓮さんが片手で易々と止める。
「志麻に自信をつけさせるためだ。今日は貸してやれ」
「そんなぁ。私ですらまだおデートしたことないのに……」
「そのうちできるさ」
そんないい加減なことを言って大丈夫?