「あぁ、たとえです。相手の男にあんなにいい女をみすみす手放してしまったと思わせるんです。志麻さん、すごくきれいな肌ですね。お化粧したら映えそう」


日焼け止めくらいしか使わない私が化粧を語るのもなんだけど、化粧映えする顔立ちな気がする。


「でもほら、ちょっと顔色が悪いですよ。とにかく食べて元気になって、それからです。というか罰ですし。はい、食べて」


私は一方的にまくし立てたあと、彼女を部屋へと押し込み扉を閉めた。


「あ、早く食べないと伸びてまずくなりますからね」


そして扉越しにそう伝えてから、白蓮さんと一緒に部屋を離れた。


「お前、けっこう強引なんだな」
「あれっ、引いてます?」


いつもはこんなに強引にはしないけれど、志麻さんに関してはこのくらいのほうがいいと思う。

だまされたことに気づきつつ、助けに来るかもしれないという一縷の望みにすがっている姿は健気とも言えるけれど、あとでバカだったと後悔するのがおちだ。