「志麻さんのことですが……」
「そんなことだろうと思った」
「どうしてわかったんですか?」
千里眼でも持っているの?
「前世の彩葉もそうだった。他人にお節介を焼くのが好きで、そういうことばかりに心を砕いていたからな」
「お節介、ですか……」
首を突っ込むべきでないと言われているのだろうか。
「まあ、皆そういうところに惹かれて、彩葉を慕っていたんだが」
彼がとびきり優しい笑みを浮かべるので、とがめられているわけではないとわかった。
「それで?」
「はい。彼女はこの宿で罰を与えられているのでしょうか?」
「罰? いや、なにも」
「それでは罰を与えてください」
「は?」
白蓮さんの目が点になっているが、私は続けた。
「私が今から食べやすいものをこしらえます。彼女に絶対に食べなければ許さないという罰を与えてください」
そう伝えると、彼はしばし黙り込む。
しかし、頬を緩めて口を開いた。
「お前というヤツは。いいだろう。罰を与える。食事ができたらまた声をかけに来い」
「ありがとうございます!」