彼女の場合は、目障りだから白蓮さんと早くくっつけ!という念がこもっているのをひしひしと感じるけれど。

どちらにしても恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい気分だ。


全部、寝ぼけた白蓮さんが悪い。
それだけは間違いない。

耳まで熱くなるのを感じながら黙々と準備を進めていると、バタバタと勘介くんが戻ってきた。


「彩葉さま、白蓮さまがお呼びです!」
「行かないわよ」
「どうしてですか? 呼んでこなかったと僕が怒られます……」


思い切り眉根を寄せて泣きそうな勘介くんは、人間界で言うなれば〝天然〟なのだろう。


「わかったから、泣かないでよ?」


私は観念して白蓮さんの部屋へと向かった。


「白蓮さん、お食事です」


廊下に膝をついて障子越しに声をかけると「入ってこい」との返事。


「失礼します」


仕方なく障子をあけて足を踏み入れ、正座した。

彼は、部屋の片隅にある机の前に座っている。
私を見てふと端正な表情を崩した。