「ギューッとしたいと思います」
ん!!
それはもしかして、寝ぼけた白蓮さんに抱きしめられたことを言っているの?
「ま、待ってないから」
「そんなことは白蓮さまにお聞きしなければわかりませんよ。僕、聞いてきます!」
「あっ、待って……。嘘……」
止めようとしたのに彼はすっ飛んでいってしまった。
すると、ちょうど戻ってきた鬼童丸さんが小さく肩を揺らして笑いを噛み殺している。
白蓮さんが勘介くんのことを『悪気はないのだが素直すぎ』と言っていたが、思ったら即行動なのだろうな。
でも悪気はないのに怒れないし……。
「間違いなくギューッとしたいでしょうね」
茶碗を出すのを手伝い始めた鬼童丸さんまでが茶化してくる。
「し、知りません!」
「仲がよろしくて、うらやましいですわ」
鬼童丸さんにぴったりと寄り添う雪那さんにまでそう言われてしまった。