「い、いえっ。下ろして!」
俗に言う〝お姫さま抱っこ〟というものを初めて経験したせいか、顔が沸騰しそうなほど熱い。
恥ずかしくてたまらないのだ。
「まだ震えているが、お前は虚勢を張るのが趣味なのか?」
「違います。そんな趣味はありません」
「あぁ、先ほどから耳が赤いな。こうしたことに慣れてないからか」
図星をさされて、虚勢を張っていることにしたほうがましだったと後悔した。
「そ、それも……」
『違います』と言おうとしたが、彼にニヤリと笑われて口を閉ざした。
〝わかっているぞ〟と顔に書いてあったからだ。
白蓮さんは祖母の墓の前まで行くと、ようやく下ろしてくれた。
しかし、まだ腰が立たないと思ったのか、彼はしゃがみこんだあと私を自分の片膝に座らせ、腰を支える。
しかし、彼は着物だ。
大きく前の合わせがはだけて、筋肉質な足がちらちらと視界に入りいたたまれない。
「頬まで真っ赤になったが、どうしたんだ?」
「な、なんでも……」