「彩葉さまと一緒に運ぶようにと白蓮さまからのご指示だ。雪那は勘介たちの面倒を見てくれると助かる」
鬼童丸さんの発言にガクンと肩を落とした雪那さんだったが、「面倒を見るくらいお安い御用ですわ」と引きつった笑みを浮かべて勘介くんたちを引き連れて廊下を歩いていった。
私は仕方なく鬼童丸さんと一緒に再び台所に戻り、もうひとつお盆を引っ張り出した。
「白蓮さんがそんな指示をされたんですか?」
「あー、嘘です。ああでも言わないと納得しないので」
「え……」
嘘だとバレたら私がいっそう憎まれそうだ。
絶対に黙っておかなければ。
「彩葉さまは宿の者に会うのは初めてでしょうから、私が一緒のほうがいいのでは?」
「たしかに」
どんなあやかしたちがいるのかも聞いていないので不安しかない。
だから彼と一緒が助かる。
「そんなに怖いあやかしがいるんですか?」