「梶さんの頑張りしだいです」
結が、おばば様の言葉そのままに答えると、「〝縁は異なもの味なもの〟ということかぁ」と因がしみじみ頷く。
「はい。だから現状では恋の行方を言及することはできません」
「見守れ、ということだね?」
結は〝近江牛と赤こんにゃくの甘辛炊き〟に箸を伸ばしながら「そうです」と答え、赤こんにゃくを口にした。
「おい、さっきから気になっていたが、その赤いのは何だ?」
「縁様、赤いのって、赤こんにゃくのこと?」
「こんにゃく? 唐辛子でも入っているのか?」
「違うよ」と言ってハクが笑みを零す。
「皆さん良く間違えられて、激辛だと思われるんですよねぇ」
「結様の言うとおり。食べてみたら分かるから食べてみて」
「では」と毒味のつもりかカイが縁よりも先に箸を伸ばした。そして、口に入れると「おや?」と意外そうな顔になる。
「まことに! こんにゃくでございます」
どれどれ、と因も口に入れ「美味しい!」と頬を綻ばせる。
「縁様もどうぞ」とカイが勧めると、縁はようやく箸を伸ばしてそれを口に入れた。
「どお、美味しいでしょう?」
ハクがニコニコと笑いかけながら、「それは近江八幡市の名物なんだよ」と解説を始めた。
「一節では、織田信長が関与してできたっていうほど昔からあるんだって」
「そんなに昔から? この色はどのようにして着色しているのですか?」
カイが興味深そうに尋ねる。
「三二酸化鉄という食品添加物を使っています。しかし、昔は着色料など無かったので、食紅やベンガラが使われていたそうです」
ちなみに、弁柄はインドのベンガル地方より伝来したとされ、昔から日本でも馴染み深い顔料だと云われていて、防虫・防腐の効果があることから、家屋を守るため柱を赤く塗ったり、陶器・漆器を赤く塗ったり――ベンガラ塗りという仕様にも活用されてきた。
結が、おばば様の言葉そのままに答えると、「〝縁は異なもの味なもの〟ということかぁ」と因がしみじみ頷く。
「はい。だから現状では恋の行方を言及することはできません」
「見守れ、ということだね?」
結は〝近江牛と赤こんにゃくの甘辛炊き〟に箸を伸ばしながら「そうです」と答え、赤こんにゃくを口にした。
「おい、さっきから気になっていたが、その赤いのは何だ?」
「縁様、赤いのって、赤こんにゃくのこと?」
「こんにゃく? 唐辛子でも入っているのか?」
「違うよ」と言ってハクが笑みを零す。
「皆さん良く間違えられて、激辛だと思われるんですよねぇ」
「結様の言うとおり。食べてみたら分かるから食べてみて」
「では」と毒味のつもりかカイが縁よりも先に箸を伸ばした。そして、口に入れると「おや?」と意外そうな顔になる。
「まことに! こんにゃくでございます」
どれどれ、と因も口に入れ「美味しい!」と頬を綻ばせる。
「縁様もどうぞ」とカイが勧めると、縁はようやく箸を伸ばしてそれを口に入れた。
「どお、美味しいでしょう?」
ハクがニコニコと笑いかけながら、「それは近江八幡市の名物なんだよ」と解説を始めた。
「一節では、織田信長が関与してできたっていうほど昔からあるんだって」
「そんなに昔から? この色はどのようにして着色しているのですか?」
カイが興味深そうに尋ねる。
「三二酸化鉄という食品添加物を使っています。しかし、昔は着色料など無かったので、食紅やベンガラが使われていたそうです」
ちなみに、弁柄はインドのベンガル地方より伝来したとされ、昔から日本でも馴染み深い顔料だと云われていて、防虫・防腐の効果があることから、家屋を守るため柱を赤く塗ったり、陶器・漆器を赤く塗ったり――ベンガラ塗りという仕様にも活用されてきた。