一緒に空を見上げながら登下校した毎日も、結月に手を引かれて歩いた土手道も。

水溜まりに映る青に感動して目を合わせた幼い二人も、結月の試合を観に行った日の燃え盛るように暑かったあの夏空の下も。

全部全部、結月がいた日々の証であり、彼がこの世界を生きた証明で。

他にももっとたくさんあるのに、それら全てを思い出すには時間が短すぎる。

でも、結月の姿を思い出すたびに思うのは、彼はいつも一生懸命だったということ。

結月は、常に前を向いていた。目の前の壁に臆することなく立ち向かって、全力で一瞬一瞬を生きていた。

……そうだ、結月はもっと生きたかったはずだ。

それに結月だけではない。この世界には、命にしがみ付きながらも、その灯火を涙ながらに消していく人たちが大勢いる。

いじめられるようになってから、当たり前のように忘れ去っていたけれど。毎日をこうして生きられることだって、決して約束されたものではないんだよね。

多分結月が今の私を見たとしたなら、恐らく失望してしまうんだろうな。

だって私は、結月が生きたかった明日を捨てようとしているのだから。

結月はいつも言っていた。

〝いつかは誰かの役に立てるような人間になりたいんだ〟って。

そんな結月が命を燃やして、私がこうやって死にたいと思いながら生きている。本当に情けないし、不甲斐ないとも思ってしまう。

……ごめんね、結月。

そして、ごめんなさい。この世の中にいる、生きたいと願う全ての人たちへ。

死を選んでしまった私が言うことではないのかもしれないけれど。

それでも今は、自分の下したこの決断が、一番正しいと願わせてほしい。

……そうやって、私は自分を正当化するのに精一杯だった。