それから半日悩み、考えた。

 聖とこのままの関係を続けるか、元に戻るか。

 天形とのことで、元の関係に戻ることができないことはわかっている。
 つまり、私は聖を傷つけるだけじゃなく、失う覚悟も決めなければならないということになる。

 その答えは出なくて、思っていることをそのまま聖にぶつけてみようと思った。
 だけど、聖には用事があると断られてしまった。

 代わりというわけではないが、私は放課後、夏希のバイト先に行くことにした。

 今は、アイスを食べながら夏希のバイトが終わるのを待っている。
 アイスを口に含み、店の外を眺める。

 忙しそうに歩くサラリーマン、友達と笑い合いながら通っていく女子高生、幸せそうに手を繋いでいる高校生カップル。

 そこには、ある日の日常とも言える、幸せな時間が流れているように思った。

 私だって、そんな幸せな時間を過ごしてきたつもりだ。
 それがいつ、狂ってしまったんだろう。

 今が幸せじゃないと言ったら、それもまた違うけど……

 私はただ、大切な人とみんなで笑っていたかった。
 ただ、それだけだったのに。

 その小さな幸せが、気付けば私の手から離れていた。
 もう、私が大切な人みんなで一緒にいることは、叶わない。