高井の謝罪に首を横に振る。

 すると、見知らぬ男子高生が高井の肩を組んだ。

「いつまでカップルの邪魔してんだよ。今日は合コンだろ」

 彼はそう言うと、高井を引きずる。

「二人とも、またな」

 引きずられながら手を振る高井に手を振り返す。
 そして私たちは顔を見合わせて笑った。

 ひとしきり笑うと、聖から笑顔が消えた。

「聖……? どうかした?」
「なんでもないよ。帰ろう」

 聖は笑顔を取り繕った。
 余計に心配になるけど、深く聞くことが出来なかった。

 それから妙に気まずくなって、寄り道をすることなく、私は聖に送ってもらった。

 自分の部屋に入り、ベッドに仰向けに寝転がった。
 右腕で目を隠す。

 高井と別れてからの聖、絶対隠し事してた。
 原因はどう考えても、天形とのやり取りだ。

 聖、どう思ったんだろう。

 あんなに辛そうな笑顔を見たのは、初めてかもしれない。
 やっぱり、いい気はしない、よね……

 でも、どうすればよかったんだろう。
 私が高井に頼んだわけじゃないし、私から連絡したわけじゃない。

 天形からのよくわからないメッセージに苛立って、必要以上にやり取りもしてないけど……

「もう、わかんないよ……」

 考えすぎで疲れたのか、私はそのまま眠ってしまった。