でも、聖の言葉を冗談として流せなかった私は、気まずい空気のまま家に着いた。

「ひなた」

 家の中に入ろうとドアノブに手をかけたら、聖に呼び止められた。
 手をそのままにして、聖のほうを向く。

「さっきの……やっぱ冗談じゃないから。それじゃ」

 聖は私の返事を聞くより先に、帰っていってしまった。

 私は深く考えないうちに自室に入る。
 荷物を適当に床に置き、ベッドにダイブする。

「冗談じゃない……て……」

 あの告白もどきが、冗談じゃないってこと……?

 じゃあ……聖が好きなのって……

 いや、これ以上はやめておこう。

 聖の気持ちを考えるけど、どれだけ辛い思いをしてきたのか、計り知れない。

 謝りたいような、謝ったらいけないような、なんとも言えない気分だ。

 枕に顔をうずくめていたら、制服のポケットに入ったままのスマホのバイブの音がした。
 一通のメッセージが届いたらしい。

 見たくない気持ちが強く、ゆっくりとポケットからスマホを取り出す。

 メッセージを確認すると、送り主は天形だった。

『元気?』

 スマホを投げたくなる衝動に駆られた。

 何が元気?
 なんでそんなこと聞いてくるの?
 こっそり人に私の連絡先聞いて、言いたいことがこれ?