言っている意味はわからなかったけど、冗談を言っているようには見えなかった。

「……わかった」

それだけ言うと、聖は満足そうに笑った。



 放課後、沙奈ちゃんは用ができたらしく、私と聖で沙奈ちゃんの家に行くことになった。
 沙奈ちゃんのお母さんから私の分の荷物を、聖は夏希の分の荷物を受け取る。

 どこで情報を手に入れたのか……なんて、沙奈ちゃんに聞いたとしか思えないけど、沙奈ちゃんの家に行ってる途中に、夏希から聖にメールが届いた。

『私の代わりに荷物持って帰って』

 相変わらず、聖を便利に使ってるなって思った。

 それから私たちは帰路についた。
 すると、着替えしか入ってない荷物を、聖に取られた。

「ちょっと」
「持たせてよ。俺、夏希のよりひなたの持ちたい」

 優しさの見せ方、間違ってる気がする。

 私は荷物を取り返す。

「軽いから大丈夫。夏希のはお菓子とか入ってて大きいじゃん。無理しないで」

 聖はじっと私を見てきた。

「な、なに……」
「ひなたって甘え下手だよな。男は適度に頼られたほうが嬉しいって知ってっか?」

 聖の得意げな表情に、少し頬を膨らませる。

「どうせ意地っ張りですよーだ」