大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったら、大丈夫じゃない。
 でも、断らなかったのは自分だし、これ以上逃げたくない。

「……やれることはやってみる。こういうことがなきゃ、告白なんて絶対に出来ないと思うし」
「無茶はしないでよ?」

 この挑戦自体が無茶なことです、とは言えなかった。

「うん。頑張る」

 電話を切り、見つけたベンチに座ると、焼きそばを食べる。

 味は当然美味しかったけど、天形が作ったものかもしれないと思うと、思うように喉を通らない。
 もしくは、告白大会の緊張からか。

 考えれば考えるほど逃げたくなるから、現実逃避をするように、焼きそばを食べ続けた。

 食べ終えるころには、告白大会出場者を招集するアナウンスが流れた。

 パックと割り箸を分別してゴミ箱に入れると、中庭にあるステージ横に向かった。
 篠田さんはもうすでに来ていた。

「あなたの分もエントリーしておいたから。私の次ね」

 篠田さんはそう言って、私に背を向けた。
 優しいのかそうではないのか、わからない。

 司会者の合図で、大会出場者がステージに上がる。
 観客は思った以上にいて、一気に緊張感に襲われる。

「今回の大会出場者はこちらの五名です! 好きな人、彼女、彼氏に思いを大きな声で告白してください! 大会と言っていますが、順位は決めません。相手の答えで、盛り上がろうという企画です!」