沙奈ちゃんの寂しそうな表情に、悪いことをしたように錯覚してしまいそうになる。

「ごめんね、沙奈ちゃん。夏希と楽しんできて?」

 沙奈ちゃんは頬を膨らました。

「ひなたも一緒じゃなきゃ、つまらない」
「……ありがとう。でもね、沙奈ちゃん。私、今は絶対に沙奈ちゃんの気分を下げるようなことしかできない。それが嫌だから……沙奈ちゃんといたいと思ったら、メールするね」

 子供を諭すような言い方をしてしまって、少し後悔したけど、その選択は間違っていなかったのかもしれない。

 沙奈ちゃんは納得していないようだけど、何も言い返してこない。

「じゃあ、ひなた。また後でね」

 無言の沙奈ちゃんを連れて、夏希は階段を降りていった。
 一人になった私は、さっき夏希が言っていた仮装カフェの場所を探す。

 幸い同じ階にあったみたいで、そっと教室の中を覗く。

「いらっしゃいませ!」

 一番に私に気付いたのは、女海賊のような格好をした子だった。
 その美人さに、思わず見とれてしまう。

「あのー? よかったら、中へどうぞ?」

 彼女に言われるがまま、中に入り、席につく。
 メニューを渡されるけど、店員の仮装が気になって注文どころじゃなかった。

 魔女、姫、メイド。
 どの子も可愛い。