そしてその日は夏希も予定がないということで、三人で行くことになった。
◆
土曜日、私たちは天形の学校の校門で待ち合わせをした。
また一番に着いてしまった私は、その場から中の様子を伺う。
中学のときとは違って、本当のお祭りみたいだ。
「おお! 文化祭だ!」
気配を消して私の後ろにいた沙奈ちゃんが、子供のように騒いでいる。
「おはよう、沙奈ちゃん」
「ね、ひなた! まだ行けないの?」
挨拶ではなくそんなことを返してきた沙奈ちゃんは、本当に楽しみなんだろう。
そして、早く行きたいということしか頭にないのか、夏希の存在をすっかり忘れている。
「誘ってきた本人が忘れるってどういうこと」
少し遅れてきた夏希が、沙奈ちゃんの頬をつねる。
「いたたた。つい楽しみで、夏希のこと忘れてた」
「まったく沙奈は……」
二人のやり取りに思わず笑みがこぼれる。
変な緊張も、若干和らいだ。
「あの!」
すると、誰かに話しかけられた。
声がしたほうを見ると、浴衣を着たあの子がいた。
「あっ……」
沙奈ちゃんも気付いたみたいだけど、少し反応しただけで、見て見ぬふりをした。
真っ直ぐ見つめられる。
「あなたがひなた?」
「そう、ですけど……」
その子の勢いに負け、同い年のはずなのに敬語になってしまった。
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土曜日、私たちは天形の学校の校門で待ち合わせをした。
また一番に着いてしまった私は、その場から中の様子を伺う。
中学のときとは違って、本当のお祭りみたいだ。
「おお! 文化祭だ!」
気配を消して私の後ろにいた沙奈ちゃんが、子供のように騒いでいる。
「おはよう、沙奈ちゃん」
「ね、ひなた! まだ行けないの?」
挨拶ではなくそんなことを返してきた沙奈ちゃんは、本当に楽しみなんだろう。
そして、早く行きたいということしか頭にないのか、夏希の存在をすっかり忘れている。
「誘ってきた本人が忘れるってどういうこと」
少し遅れてきた夏希が、沙奈ちゃんの頬をつねる。
「いたたた。つい楽しみで、夏希のこと忘れてた」
「まったく沙奈は……」
二人のやり取りに思わず笑みがこぼれる。
変な緊張も、若干和らいだ。
「あの!」
すると、誰かに話しかけられた。
声がしたほうを見ると、浴衣を着たあの子がいた。
「あっ……」
沙奈ちゃんも気付いたみたいだけど、少し反応しただけで、見て見ぬふりをした。
真っ直ぐ見つめられる。
「あなたがひなた?」
「そう、ですけど……」
その子の勢いに負け、同い年のはずなのに敬語になってしまった。