相当暇だったんだなという思いと、二人が応援すると言ってくれて嬉しい気持ちが混ざって、なんだか変な気持ちになる。

「ていうか、天形に好きな人なんているんだ?」
「あ、もしかしてあの子? あのー……ギャルみたいな、超可愛い子」

 沙奈ちゃんに差し出されたバラを受け取りながら、頷く。

 あの子は、本当に可愛かった。
 天形の隣にいても、全然違和感がなかった。

 私だと、不釣り合いだし……

 何より、天形が名前を呼んでいた。
 好きな人……いや、もしかしたら彼女なのかもしれない。

 ……て、あれ?
 彼女なんだっけ……?

「あの子、天形くんのなんなんだろうね」

 沙奈ちゃんの質問に、答えられるはずなかった。
 その質問をきっかけに、私たちは黙り込んでしまった。

 その間に私と夏希は、飲み物を飲み干した。

「それじゃ。目的は達成したし、遊びますか」

 一番に席を立った夏希は、私たちを待たずにゴミを捨てて店を出た。
 私と沙奈ちゃんは慌てて追いかける。

「……沙奈? どうしてゴミを持ってきてるのかな?」

 沙奈ちゃんの手には、茶色いバラ。
 私に渡されたけど、勝手に捨てるわけにもいかなくて、どうするか聞いたら、夏希に押し付けようと、とても弾んだ声で言われた。