そして、またしばらく走ると――突然、視界が開けた。

「ここ、どこですか?」

眩しさに目を細め、車窓の外を見渡す。

「お堀……? ということは古城かなんかですか?」

堀の向こう側はこんもりとした山となっていて、鬱蒼(うっそう)と茂った木々が(おお)っていた。

「あの森の中心に虚偽の静寂教団の本部がある」

天地さんは堀の脇を走る道沿いに車を走らせる。

「堀を渡るには前方に見えてきただろう? あの石橋しかない」

石橋にはゲートが設けられていて、ゲート前には守衛だろうか、(いか)めしい姿の男性が二人立っていた。

「凄く厳重な警備ですね?」
「だから胡散臭いんだ」

共感の意を込め、何度も頷いてしまった。

「でも、無関係な者がウロウロしていて怪しまれないんですか?」
「まぁ、チェックはされているだろうな」

「ほれ」と顎で前方左を指す。そこにカメラのようなものがあった。

「至る所に防犯カメラが設置されているんだ」

うわっ、と慌てて下を向く。

「もう遅いわ!」

呆れたように言いながら天地さんは「心配するな」と笑う。

「ここはオカルトマニアの聖地になっているんだ。だから、訪れるのは我々だけじゃない――まぁ、そう仕向けたのは俺だがな」

鼻高々になる天地さんは、そこのところを事細かく説明し始めた。