「シオはどう思う? この子の母親って生者? それとも……」
〈うん、後者だと思う。生きていたらこの子の供養をしているはずだよ〉
「私もそう思う。だったら、母親は何処に行ったの?」

子供を遺して成仏したとは考え難い。

〈もしかしたら……〉
「何か知っているの?」
〈――う……ん。今回は天地さんに相談した方がいいかも〉
「天地さんに?」

シオの口から彼の名が出てくるとは、意外だった。

〈うん。もしかしたら……凄く厄介(やっかい)なことになるかも〉
「厄介って、今以上に厄介なことがあるの?」

そんなことになれば、平穏な日々から益々遠ざかってしまう。

「分かった! すぐに連絡する」


 *


授業が終わって向かった先は、学校の近くにあるが、生徒の足が滅多に向かない(さび)れたコンビニの駐車場だった。そこに天地さんの車が停まっていた。

「お呼び立てして、すみません」

そう言いながら車に乗り込むと、「ゲッ」と言いながら天地さんの顔が歪んだ。

「お前、またそんな奴、連れて……」

少年のことだろう――なので祓われる前に説明せねばと勢い良く事情を話し始めた。

「なるほど」

話を聞き終えた天地さんは少年を見遣り、思惑げに頷いた。