ほほう、と天地さんは塵芥(ちりあくた)を見るが(ごと)くこちらをチラリと見遣(みや)り、フンと鼻を鳴らした。

「お前は守護神をそんな目に()わせるつもりか?」

悪霊からの護り神、という意味でそう言っているのだろうが、なら、四の五の言っていないでさっさと祓って欲しいものだ。

「――守護神ですかぁ……」

(いぶか)しむようにオウム返しをすると、天地さんは「不服そうだな」と面白く無さそうにアクセルを深く踏み込んだ。

「ちょっ、ちょっと! スピードの出し過ぎです。チクる前に死にます」
「規定速度だ。この期に及んでまだたれ込むなどと言うとは、何て奴だ」

スピードを上げた車は高速道路を文字通り疾風(はやて)のように走り抜けていく。

「――天地さんは守護神と言うより死神です」

パーキングに車を停める彼に間髪入れず文句を言うと、悪霊憑きに言われたくないと言い返された。

その悪霊憑きにヘルプを頼んでいるのは誰だ、とさらに突っ込もうとしたが、彼が車を降りてしまったので言えなかった――残念!

到着したのはJR平塚駅北口商店街の一角にある駐車場だった。

〝湘南〟と聞くと、若者たちがたむろしているようなハイカラな雰囲気を想像してしまうが、ここは実に庶民的な、地元に密着した商店街のようだ。

「今は穏やかで静かだが、祭りの時はどこから人が湧いて出てきたのだというほど人で埋め尽くされ、騒然とした様になる。有りがちだが、そういった場所には様々な思念が残る。で、どうだ、何か訴えるモノはいないか?」

首を横に振る。確かに浮遊霊っぽいものはいるが、特別何か訴えてくるような霊はいなかった。